スポットリダクション(部位トレ)の神話
クライアントから寄せられる「よくあるリクエスト」として、次のようなものがあります。「お腹の脂肪を落としたい」
「二の腕の脂肪を落としたい」
「太ももの脂肪を落としたい」
つまり、体の特定の部分についた余分な脂肪を取り除くことができたら…と願っているのです。
トレーナーは、このリクエストに応えるために
「クランチをしてお腹を使いましょう」「トライセップスのエクササイズをするといいですよ」「スクワットをして太ももを絞めましょう」などと提案しているのではないでしょうか。
このトレーナーは、スポットリダクション(部位トレ)が、脂肪を「溶かす」と信じているのです。
しかし残念ながらこのような提案は、基本的な生理学の知識がないことを証明するようなものです。
さまざまな研究によると、筋肉の近くにある脂肪からは最小限のエネルギーしか得られず、そして特定の部位の脂肪を溶かすのには十分なエネルギーではありません。
体はエネルギーの貯蔵場所を区別することなく、あらゆる場所から必要な場所にエネルギーを送り込んでいます。
つまり、余分な脂肪のある部分の下にある筋肉を何度も繰り返して鍛えたり、筋肉に負荷をかけてパンプを達成していても、その上にある十分な脂肪を「溶かす」ことは期待できないのです。
そこで、体全体の代謝を促進するコンパウンドエクササイズを行うことで、カロリー消費量と脂肪の減少量を最大化することができます。
コンパウンドエクササイズ(複合運動)とは、スクワット、デッドリフト、プル、プレスなど、さまざまな筋肉を連鎖的に鍛える多関節運動のことです。
このエクササイズで筋肉を激しく動かすことで、バイセップカールやトライセッププッシュダウンのようなアイソレーションエクササイズ(単関節運動)では得られないエネルギーを、運動後数時間にわたって発生させることができます。
この代謝率の上昇(EPOC)は、48時間継続して、体は体脂肪を燃料として利用したり、筋肉を修復したり成長させたりしています。
正しい提案をするトレーナーもいます。そのトレーナーはクライアントにこう説明します。
「高強度インターバルトレーニングを行い、多くの筋肉を使うコンパウンドエクササイズを行う必要があります。」
クライアントはさらに尋ねます。
「じゃあ、野の腕が気になるから、上腕三頭筋のエクササイズはどうですか?」
正しい提案ができるトレーナーは、「おそらく時間の無駄になるでしょう」と答えるのです。
パーソナルトレーナーは、古い常識にとらわれず、根拠をもって提案できるように基礎理論を学習しておきましょう。
– ジョンソンヘルステック