亜鉛が不足すると・・・
亜鉛は絶対に必要な微量元素であり、人の細胞分裂に欠かせないミネラルですが、鉄のように貯蔵蛋白がないので常に補充が必要です。また様々な原因で欠乏してしまいます。不足すると新しい細胞を作る力が衰え、その結果皮膚炎や味覚異常などの症状が起こりやすくなります。亜鉛の吸収量は摂取量の30%ほどとされますが、同時に摂取した銅や鉄の影響で変化します。亜鉛は補酵素として多くの酵素の働きを活性化し、味蕾の形態 維持、骨代謝、蛋白代謝、糖代謝、皮膚代謝、性腺の発育・機能保持、中枢神経系など様々な生理機能に関与しています。 亜鉛欠乏症では味覚障害、成長障害、皮膚疾患、食欲不振、慢性下痢、神経系異常、不妊などが報告されています。味覚障害は有名ですが、そのほかに褥瘡発生にも関連し、栄養サポートには欠かせない微量元素です。欠乏症の原因としては肝不全、血液疾患、腎不全、胃切除後、Crohn病、短腸症候群、糖尿病などが知られていますが、医原性のものとして長期の静脈栄養や経腸栄養には注意が必要です。
亜鉛が多く含まれる食品
亜鉛は動物性食品に多く含まれます。牡蠣2個(正味40g) で亜鉛5.3mg、ホヤ1個(正味80g)で亜鉛4.2mg、ホタテ貝も1個(正味80g)で亜鉛2.2mgです。生もの以外に缶詰でも摂取は可能で、ズワイガニの水煮缶詰 1/2 缶(60g)では亜鉛 2.8mgで す。肉類では、赤身の強いものに亜鉛が多く含まれるので選ぶヒントになります。牛もも肉薄切り赤肉部分3枚(90g)で亜鉛 4.6g、豚もも肉薄切り赤肉部分4~5 枚(90g)で亜鉛 2gなので、牛肉は豚肉の倍の亜鉛が含まれます。その他、豚レバー1 回量(80g)で亜鉛 5.5mg です。今はサプリメントなどで簡単に栄養素の摂取は可能ですが、サプリメント等で多量の亜鉛を継続的に摂取することは、銅や鉄の吸収が阻害され貧血になることがあるため注意が必要です。穀類や豆類に多いフィチン酸、青菜に多いシュウ酸、また、加工食品に含まれることの多いリン酸塩は、亜鉛と結合することによって亜鉛の吸収を妨げることが知られており、極端な偏食をしないことが大切です。 偏った食生活や加工食品ばかりの食事にならないよう1日3食、主食と主菜・副菜を整えてバランスの良い食事を心がけましょう。
亜鉛の摂取基準量は?
1日あたりの亜鉛の摂取基準は18歳以上の男性で11mg(耐容上限量40mg)18歳以上の女性で8mg(耐容上限量35mg)です。サプリメントや亜鉛強化食品の不適切な利用によって長期に過剰摂取してしまうと、鉄や銅の吸収を阻害して貧血や銅欠乏になったり、胃の不快感を起こしたりします。サプリメントなどを継続して摂る場合は、亜鉛を安全に習慣的に摂取できる上限量(耐容上限量)を超えないように注意しましょう。