新規クライアントに確認するべき12の基本的な質問

パーソナルトレーニングにおける成功は、クライアントの目標に対する深い理解に基づいています。特に、新しいクライアントとの初回のコミュニケーションは非常に重要で、これがトレーニングプログラム全体の基調を決定することになります。ここでは、パーソナルトレーナーが効果的なフィットネスプランを立てるために重要な「基本の質問12」について解説します。
この12の質問は、パーソナルトレーナーであれば必ず行う基本中の基本ですが、なぜその質問を行うべきなのかということを、改めて考えてみましょう。

質問1.トレーニングの目標は何ですか?

まずは、何を達成したいかを明確にしましょう。体重減少、筋力アップ、柔軟性向上、あるいは結婚式や海水浴、旅行、パーティーといった特定のイベントへの準備など、どんな大きさの目標でも、それを知ることが効果的なフィットネスプログラムを設計する基礎となります。

質問2.パーソナルトレーニングを受けた経験はありますか?

この質問から、クライアントのこれまでのフィットネス経験について想像することができます。彼らが体系的なワークアウトにどれだけ慣れているかを把握することで、今後のセッションにおける目安を設定するのに役立ちます。例えばクライアントが「以前にトレーニングを受けたことがあるが、継続しなかった」と回答した場合、その経験から何がうまくいかなかったのかを尋ね、今回のトレーニングプランに取り入れた改善策を提案しましょう。

質問3.現在の運動習慣について教えてください

クライアントが現在どの程度活動的かを知ることは非常に重要です。これにより、トレーニングの初期段階で適切な強度を見極め、過度な疲労や怪我を避けることが可能になります。例えば、クライアントが「週に2回ジョギングをしている」と回答した場合、その運動習慣を尊重しつつ、追加のトレーニングを提案します。そしてクライアントの活動量を確認し、適切な強度を設定することも重要です。

質問4.健康上の問題や医学的な制限はありますか?

安全なトレーニングプランを作成するには、慢性的な健康問題、怪我の歴史、あるいは特定のエクササイズに影響を与える可能性のある他の症状について知ることが極めて重要です。これは、カウンセリング時にPAR-Qを行うことなどで知ることができます。例えばクライアントが「膝に関節の問題があり、長時間の運動は難しい」と回答した場合、その制限に対応したトレーニングプランを設計し、怪我のリスクを最小限に抑える方法を提案します。

質問5.食事習慣について教えてください

フィットネスにおいて食事は重要な役割を果たします。クライアントの食事習慣を理解することで、エネルギーレベルや栄養不足の可能性、改善が必要な分野についての洞察を得ることができます。例えばクライアントが「朝食を抜いてしまう傾向がある」と回答した場合、朝食の重要性について説明し、バランスの取れた食事習慣を促すアドバイスを提供しましょう。

質問6.好きな運動と苦手な運動は何ですか?

クライアントが楽しめるエクササイズをプログラムに取り入れることで、継続的な参加の可能性を高めます。また、苦手な運動を理解することも同じくらい重要で、これにより徐々に運動を導入したり、適切な代替運動を見つけたりすることができます。例えばクライアントが「水泳が好きで、ウェイトトレーニングが苦手」と回答した場合、水泳をフィットネスプランに取り入れ、ウェイトトレーニングを少しずつ導入して慣れさせる計画を立てましょう。

質問7.週にどれくらいの時間を運動に割くことができますか?

クライアントが運動に割ける時間を把握することで、他の生活のコミットメントを考慮しながら現実的な目標設定を行い、効果的なトレーニングスケジュールを作成することができます。例えばクライアントが「週に3回、1時間ずつトレーニングに割ける」と回答した場合、このスケジュールに合わせた効果トレーニングプランを設計することができます。

質問8.フィットネスを高く維持するための動機となるものは何ですか?

健康、美容、パフォーマンス向上など、フィットネス維持の動機を理解することは、トレーニングを通じてクライアントの関与と集中を高めるのに役立ちます。例えばクライアントが「将来の健康状態を良くし、家族との時間を楽しみたい」と回答した場合、家族とのアクティビティを取り入れたフィットネスプランを提案し、その目標に向かってのモチベーションを高めることができます。

質問9.進捗を測定する方法として、何を優先しますか?

クライアントによって成功の基準は異なります。体重や筋肉量のような定量的な指標を重視する人もいれば、全体的な健康や持久力のような定性的な側面を重要視する人もいます。つまり定量的アプローチは「何」を明確にするのに対し、定性的アプローチは「なぜ」や「どのように」を深く掘り下げる人がいます。フィードバックを彼らの優先事項に合わせることで、これはモチベーションを維持するのに役立ちます。

質問10.身体に痛みや不快感はありますか?

既存の痛みや不快感を悪化させないよう、運動の修正が必要かどうかを把握することで、潜在的な怪我のリスクを回避できます。例えばクライアントが「腰に痛みがあるが、無理に運動を続けてしまうことがある」と回答した場合、無理せずに痛みを軽減するエクササイズを導入し、怪我のリスクを最小限に抑える方法を指導しましょう。

質問11.ストレスレベルはどの程度ですか?

ストレスはトレーニングの効果や回復能力に大きく影響する可能性があります。ストレスレベルを理解することで、ストレス軽減技術の導入やトレーニングの強度調整に役立ちます。例えばクライアントが「仕事のストレスが高く、リラックスの時間が欲しい」と回答した場合、ストレス軽減のためのリラックステクニックやトレーニングの一部としてのストレス管理を提案しましょう。

質問12.フィットネスの最終的なゴールは何ですか?

最終的なゴールを理解することで、現在のフィットネス目標を達成するだけでなく、持続可能かつ進歩的なトレーニングプランを作成するのに役立ちます。これは、人生の目標と一致させていることが重要です。例えばクライアントが「60歳になるまでに活力的で健康的な体を維持したい」と回答した場合、長期的な健康の維持を考慮に入れたフィットネスプランを設計し、そのゴールに向かって進む戦略を提供しなければなりません。

パーソナルトレーニングにおいて、クライアントとの信頼関係の構築は欠かせません。質問に対するクライアントの回答に真剣に耳を傾け、そこで得られた情報をトレーニングプログラムの方針設定に活かすことが重要です。このような関係性は、クライアントとの長い関係性の構築と、その成功の基盤となります。
さらに、初回のセッション時だけではなく、定期的にこれらの質問を行うことが大切です。クライアントの目標や置かれた環境は時間と共に変化するため、トレーニング計画もこれらの変化に柔軟に対応する適応力がなければなりません。
クライアントについてより多くを知れば知るほど、彼らのフィットネスに対する願望をサポートするための準備が整えられることになります。パーソナルトレーナーの役割は、単にエクササイズを指導することに留まらず、ガイドとして、モチベーターとして、そしてクライアントの健康とフィットネスを達成する道のりにおいて不可欠な存在です。

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