怪我した後のトレーニング再開まで          「水中トレーニング」のすすめ

プロスポーツ選手でも、怪我によりトレーニングのルーティンから外れてしまうことがあります。NESTAが見ている選手の中にも、そうした悩みを抱えていた選手が多くいました。捻挫や骨折、そのほかキャリアを脅かすような大怪我はもちろん、軽い怪我でさえ本来のルーティンが続けられなくなってしまうことは多くあります。通常、怪我をしてからは、完全な回復を待ちながらリハビリを経て、その後トレーニングに復帰するという流れが理想です。しかし、ルーティンから一度外れると、ケガをしたことによる身体的な負担だけでなく、精神的負担からも、どうしてもトレーニング再開が難しくなってしまいがちなのです。
では、怪我をしてトレーニングのルーティンから離れてしまっても、スムーズに本来のトレーニングに復帰するためには、どのような工夫が必要なのでしょうか。ここでは、そのヒントをご紹介します。

医師の許可を得る

まず、医師から「トレーニングを始めてもいい」という許可を得ることが大前提です。無理な再開は危険なのでやめましょう。

水中トレーニングを導入する

もし医師からトレーニング再開の許可が出ても、最初は少し不安に思うかもしれません。そこで、「水中トレーニング」をおすすめします。水中でのトレーニングは怪我への負担を軽減しながら行えるため、本来のハードなトレーニングに戻るための初めの一歩としては特に適しています。また、精神的なメリットもあります。水の抵抗を利用しながらゆっくりとした動作で行うため、怪我をしたことによる「思い通りに体を使えない」という絶望感やギャップへの苦しみも軽減され、自信を徐々に取り戻すことができるのです。水中で自信がついてきたら、陸上でのトレーニングに進むという流れを作りましょう。さらに、水中ではいくつかのアイテムを使います。アイテムにより水への抵抗力を変えられるので、徐々に強度をあげていくことも可能です。つまり、水中トレーニングの目標は、「体への負担を軽減しながら」、「前向きに以前のルーティンに戻れるようになる」ことにあります。

継続しよう

何より大切なのは、トレーニングをなるべく毎日継続することです。とにかく「続けること」は、身体的にも精神的にも最も重要といえます。時間が取れない日は1日20分でも構いません。もちろん、怪我の悪化や筋肉痛、そのほか体の不調を感じるときの無理は禁物ですが、大事なのはトレーニングに対する「姿勢」です。万が一1日抜けてしまっても、自分を責めるよりも「次の日にはまた再開するぞ!」といった前向きな気持ちでいることが大切です。コツコツと続けながら数週間が経ったある日、以前の写真/動画と比べてみると確実に変化が分かるはずです。「こんな動きも出来るようになった」「着ていた服が窮屈になってきた」等、そうした変化を実感できるでしょう。また、トレーニングしている人の写真を見たり、フィットネス番組を見たりするなどして、モチベーションを保つのも良い方法かもしれません。退屈を感じてきたら、トレーニングのバリエーションを変えることも必要です。なるべく「楽しく」「前向きに」継続しましょう。

トレーニング記録をつける

トレーニングをした日は、必ず記録を付けましょう。カレンダーにトレーニングした「日程」と「時間」を記入します。記録を付けることで、毎日の達成度を確認でき、モチベーションの維持にもつながります。トレーニング時間は、必ずしも長くやる必要はありません。20分から30分程度でも構いません。ただし、怪我の痛みが悪化していると感じた時や筋肉痛がひどい場合、無理をしすぎている可能性があるので注意が必要です。すぐに元のペースを目指そうとして、焦ってはいけません。「回復のペースを早めたい」「もっと体力をつけたい」と思っても、無理に負荷をかけすぎては逆効果になります。かえって負荷が高すぎてトレーニングが継続できない、という失敗に繋がるので、自分自身の体を注意深く探り、向き合いながら、自分のペースで進めていく必要があります。

仲間を見つけよう

一緒にトレーニングできる友人(パートナー)を見つけるのも良いでしょう。これには多くのメリットがあります。怪我をしているときは水中で動くことにも恐怖や抵抗を感じる場合があるかもしれません。しかし、その友人がサポートしてくれると、心強いだけではなく、再び怪我をする心配も少なくなることでしょう。加えて、毎日のトレーニングを続けるための応援もしてくれるはずです。仲間と一緒なら、お互いにモチベーションを高め合えることも出来るでしょう。また、怪我の後は、どうしても気持ちが沈んでしまいがちです。ネガティブな時は、弱音を吐いたり相談ができたりするような関係性でいると、精神的なサポーターとしても大事な存在になります。

怪我から復帰しトレーニングを再開するまでには、その怪我の程度が大きければ大きいほど、きっと大きな壁を何度も乗り越えることが必要になります。身体的ハンディはもちろん、精神的にもかなりつらい時期もあるかもしれません。何より、自分がそれまで目標に向かって毎日ハードなトレーニングをし、少しずつ成長してきたことを振り返ると、スタート時点に戻ってしまったような気分になるかもしれません。そうした絶望感から「もう逃げてしまいたい」「本来の目標はもう諦めよう」という気持ちに至ってしまいがちです。
また、怪我の状態もさることながら、その人の専門となるスポーツ、本来持っていた目標も、すべてが人それぞれになります。そのため今回紹介した「水中トレーニング」や「継続」「トレーニング記録をつける」「仲間を見つける」ことのほかにも、それぞれに合わせた工夫が必要になるかもしれません。まさに、怪我後のトレーニング再開には様々な工夫が必要ということになります。しかし、共通して言える大切なことは「継続する」「前向きでいる」ということです。回復がスムーズに進まない日もあれば、モチベーションが下がる時期もあるでしょう。そんな時こそ、あきらめずに続けること、日々の少しずつ成長している自分を楽しむ姿勢でいることが何より重要になります。まさに今、怪我からのトレーニング再開に悩んでいる方々、またはそんな方々を身近で支えるトレーナーは、ぜひ実践してみてください。

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