バランストレーニングの落とし穴

「バランストレーニング」は、身体のバランス能力を向上させるために考案された効果的なトレーニング方法です。しかし、その一方で、このトレーニングが万能ではないことが明らかになってきました。バランストレーニングには、適切に取り入れれば大きな効果が期待できる反面、不適切な方法で行えば、かえってパフォーマンスの低下やケガのリスクにつながる可能性があるのです。

バランストレーニングの効果と適用例

バランストレーニングは、リハビリテーションの一環として取り入れられることがあります。例えば、怪我からの回復過程で、徐々にバランス感覚を取り戻すために、不安定な面での歩行練習や片足立ちなどが行われます。これらの練習は、損傷した部位の機能回復と同時に、全身のバランス能力を向上させることを目的としています。また、上半身の筋力を限界まで高めるために、時にはバランスボールの上で腕立て伏せをしたり、片手でダンベルを持ち上げたりするなど、不安定な状態でトレーニングを行うこともあります。このようなトレーニングの目的は、安定した地面の上で行うよりも、より多くの筋肉を動員する点にあります。不安定な状態では、体のバランスを保つために、通常はあまり使わない筋肉も積極的に働かなければなりません。例えば、バランスボールの上で腕立て伏せをすると、腕や胸の筋肉だけでなく、体幹の筋肉も強く働きます。体が不安定な状態にあるため、体幹の筋肉が常に緊張状態にあり、バランスを保とうとするのです。同様に、片手でダンベルを持ち上げる際も、持ち上げる腕の筋肉だけでなく、反対側の腕や体幹の筋肉も、バランスを取るために働きます。このように、不安定な状態でのトレーニングは、より多くの筋肉を巻き込むこととなり、通常のトレーニングよりも効果的に筋力を向上させることができます。さらに、不安定な状態での運動は、神経系の働きも向上させます。体のバランスを保つために、脳と筋肉の連携がより速くなり、巧みな動きが可能になるのです。
一方、競技力の高いアスリートにとって、トレーニングの際は安定した地面に足を付けた状態で行うことが推奨されています。その理由は、不安定な状態でのトレーニングが、パフォーマンスの低下や怪我のリスクを増大させる可能性があるからです。アスリートは、その競技に特化した動作や技術を習得し、磨き上げることが求められます。例えば、陸上競技の短距離走者は、スタートダッシュの技術や、高速で走る際の足の動かし方を徹底的に練習します。サッカー選手は、ボールを蹴る、止める、パスするなどの基本的な動作を、様々な状況下で正確に行えるように訓練します。これらの動作や技術を習得するためには、安定した環境で反復練習を積むことが不可欠です。不安定な状態でトレーニングを行うと、正しいフォームや動作が身につきにくくなります。体がバランスを取ることに意識が向けられるため、本来の動作に集中できないからです。さらに、不安定な状態でのトレーニングは、アスリートの身体に過度な負担をかける可能性があります。例えば、バランスボールの上で片脚スクワットを行うと、膝や足首に通常よりも大きな力がかかります。これは、関節を傷めたり、靭帯を損傷したりするリスクを高めます。
つまり、バランストレーニングは万能ではなく、その人の体の状態や目的に合わせて適切に取り入れることが大切だと言えます。トレーニングを行う際は、自分に本当に必要なのかをよく考え、安全で効果的な方法を選ぶことが重要なのです。

体幹の安定性を意識しよう

上半身のトレーニングを行う際、体幹の安定性は非常に重要です。体幹は脊柱、骨盤、腹部、腰背部、横隔膜の筋肉で構成され、身体の中心としての役割を果たしています。体幹が安定していることで、腕や脚の動作がより正確かつ効率的になります。例えば、ローイングやチェストプレスなどの上半身トレーニングでは、体幹が安定していることが不可欠です。体幹が安定していれば、腕の動作に必要な力を無駄なく伝えることができ、効果的なトレーニングが可能になります。体幹の安定性を高めるためには、プランクやブリッジなどの体幹エクササイズを取り入れることが有効です。また、ウエイトトレーニングでは適切な重量選択も重要で、体幹が安定せずにブレてしまうような重すぎるウェイトは避けるべきです。

私たちの日常生活や競技スポーツでは、ほとんどの場合、安定した地面に足を付け、腕を自由に動かすことが求められます。例えば、ビーチサンダルを履いて濡れた芝生の上でゴルフをするのは難しいでしょう。足元が不安定だと、スイングに必要なパワーを効果的に伝達できません。また、氷の上に立ってボールを遠くに投げるのも危険です。滑りやすい表面では、体のバランスを保つことが難しくなります。
こうした日常的な動作を考えると、トレーニングにおいても、不自然なバランス器具の使用は避けるべきだと言えます。安定した地面で正しいフォームを習得し、徐々に難易度を上げていくことが、効果的で安全なトレーニングにつながります。バランス能力を向上させることは重要ですが、それは競技や目的に特化したバランストレーニングを通じて行うべきなのです。
バランストレーニングは、適切に行えば身体のバランス能力の向上に大きく寄与しますが、その効果を最大限に引き出すためには、自分の体力レベルや目的に合ったトレーニング方法を選び、体幹の安定性を意識し、適切な重量で行うことが重要です。安定した環境で基礎を固め、段階的に難易度を上げていくことがバランストレーニングの効果を最大限に引き出す鍵となるでしょう。

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