ザクロが記憶力向上とアルツハイマー病の治療に役立つ?

人は誰しも、できるだけ健康な脳を保ち記憶力を維持したいと願うもの。アルツハイマー病のリスク低下を助ける食事については数多くの研究が行われていますが、ザクロに含まれるウロリチンAという物質が記憶力向上を助け、認知症予防と治療に役立つ可能性があることが最新の研究でわかりました。ウロリチンAは、ザクロ等に含まれるポリフェノール・エラグ酸がヒト腸内の腸内細菌によって代謝されてつくられる物質のひとつで、細胞のケアを助ける※「オートファジー」と「サーチュイン遺伝子」を活性化させるウェルエイジング素材として注目されています。

研究者らはこれより前に、NADサプリが損傷したミトコンドリアを脳から取り除くのを積極的に助けることから、アルツハイマー病やパーキンソン病のような神経変性疾患で重要な役割を果たすことを発見していました。神経変性疾患の患者の多くは、ミトコンドリア機能障害(別名ミトファジー)を経験します。これは、脳が弱ったミトコンドリアをうまく除去できずに、脆弱なミトコンドリアが蓄積して脳機能に悪影響を及ぼすという障害です。そこで研究者らは、ミトファジーの過程で刺激を与え、弱ったミトコンドリアを除去できれば、脳にプラスの効果が出るのではないかという理論を立てたのです。

実験の結果、ウロリチンAがNADサプリと同じくらい効果的に、脳から脆弱なミトコンドリアを除去することがわかりました。とはいえ、記憶力改善やアルツハイマー病と認知症の症状緩和に、ザクロに含まれるこの物質をどのくらい摂取する必要があるか、研究者もまだ把握できていないといいます。では、ウロリチンAは記憶力にどのように影響するのでしょうか? 研究によると、ウロリチンAには神経保護作用があり、損傷した細胞を排除し健康な細胞を生成する体の能力を高め、過剰な炎症反応を軽減することが分かっています。


医学誌『アルツハイマー・アンド・ディメンシア』に掲載されたコペンハーゲン大学による研究では、ウロリチンAがアルツハイマー病の治療にどのように役立つかを調査。アルツハイマー病のマウスモデルを使用して、研究者らはザクロに含まれるこの物質が、ニコチンアミドリボシド(NADサプリメント)と同じくらい効果的に、脳内の弱ったミトコンドリア(細胞の原動力)除去にどう役立つかを調べたといいます。
ウロリチンAの量を増やすのにベストな方法は、腸内細菌によるウロリチンA生成を助ける食品を食べることです。以下におすすめの食品を掲載しておきます。

ウロリチンA生成を助ける食品

・ザクロ
・ザクロジュースまたはザクロエキス
・くるみ
・ラズベリー
・いちご
・アーモンド
・ピーカンナッツ

規則正しい睡眠や体を毎日動かすなどの生活習慣と一緒に、これらの食品も摂取するようにしましょう。私たちの体は、加齢とともにウロリチンAを生成する効率が低下します。とくに高齢者や中年の方はサプリ摂取が適切かもしれません。ウロリチンAのサプリが自分に適しているかどうかを判断するために、必ず医療提供者に相談しよう。
この研究で注目したいのは、食品やサプリを通じてウロリチンAを増やすことができる点です。とはいえ、この結果はマウスで行われた研究によるもので、同様の結果が出るかどうかを判断するために、人間で試す必要がある。ということを心に留めておきましょう。 
重要なのは、現在、脳の健康をサポートする方法を理解する研究が進められている点です。科学的に明確な因果関係が確立されるまでは、健康な体の維持を大事にしましょう。

※オートファジーとは、細胞内の不要な物質を回収して分解し、リサイクルする働きのこと。細胞内の新陳代謝を促し、新しい細胞に生まれ変わらせます。細胞から有害物を除去する働きもあります。また、サーチュイン遺伝子には、活性酸素で損傷したDNAの傷を修復する働きがあり、細胞を元気にします。

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