危険な瞬間睡眠『マイクロスリープ』とは?

仕事中に眠気に襲われ、うとうと居眠りしてしまったという経験は、多くの方がしているでしょう。その中でも、強い眠気により瞬間的に発生する「マイクロスリープ」は、特に運転中などで発生すると重大な事故につながるリスクがあるため、予防が必要です。

マイクロスリープとは?

マイクロスリープとは、眠気が強いときにほんの数秒間だけ続く瞬間的な睡眠のことを指します。目が開いていて起きているようにも見えますが、脳波を測定すると覚醒時とは異なり、睡眠に入っていることが確認できます。眠気は自覚しており、視界がぼんやりしたり、意識が途切れたりしている状態ですが、非常に短時間しか持続しないため、本人に「寝た」という自覚はほとんどありません。仕事中に眠気に襲われ、首がカクッと落ちて目が覚めた経験はありませんか。マイクロスリープはこれよりもっと手前の段階で既に発生していることがあります。

なぜマイクロスリープは発生するのか?

マイクロスリープの大きな原因は睡眠不足です。睡眠不足には「量」の不足と「質」の不足があります。夜ふかしや夜勤、時差ボケなどで十分な睡眠時間を確保できていない場合はもちろん、途中で何度も目が覚めて睡眠が浅いなど、睡眠の質が悪い場合もマイクロスリープが起こりやすくなります。また、不眠症や睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害は睡眠の質を下げるため、マイクロスリープを起こしやすくなります。

知っておいて欲しいのは、睡眠不足が健康な人にもマイクロスリープを引き起こすこと、そしてその状態が非常に危険であるという点です。慢性的な睡眠不足に陥ると、眠気に鈍感になり、自分で睡眠不足を自覚しないこともあります。日中の眠気を「ちょっと疲れているだけ」と軽く考える人もいますが、実際には脳が「強制的に活動を停止し、睡眠モードに切り替えなければならない」と判断した結果がマイクロスリープです。これは、パソコンの「強制終了」に似ています。マイクロスリープはいつ発生するか予測ができず、突然意識が途切れるため非常に危険です。特に、運転中や機械操作中に発生すると、命にかかわるリスクがあるため、十分な注意が必要です。

マイクロスリープを予防するには?

マイクロスリープや日中の眠気を防ぐためには、睡眠不足を解消することが第一です。必要な睡眠時間には個人差がありますが、全米睡眠財団では、就労世代に7~9時間の睡眠を推奨しており、子どもや若者はこれより長く、高齢者はこれより短くなる傾向にあります。忙しくて十分な睡眠を確保するのが難しい人もいるかもしれませんが、10分でも15分でも、可能な限り睡眠時間を伸ばすように努めてください。その分だけマイクロスリープのリスク低下につながります。

マイクロスリープを防ぐためには、日常生活の中で自分の疲労サインに気づき、適切な休息を取ることが重要です。睡眠不足を軽視せず、体調を整えることで、事故のリスクを回避し、安全で健やかな日々を送ることができるでしょう。

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