アメリカ人のための食事ガイドライン
2026年1月、「アメリカ人のための食事ガイドライン (Dietary Guidelines for Americans)」の最新版がアメリカ政府より発表されました。
これは、国民の健康増進と慢性疾患予防のための栄養指針として、アメリカ政府が5年ごとに改訂している食事のガイドラインです。今回発表された2025~2030年版では、前回から大幅な変化が見られ話題となっています。
「日本人とアメリカ人では体質も食生活も違う。参考になるの?」
そう思う人もいることでしょう。しかし、日本人の食生活は年々欧米型化し、肥満や糖尿病に悩む人が急増する昨今、アメリカ政府が公式に発表する栄養指針の変化を無視することはできません。
このコラムでは、前回のガイドラインからどのような点が更新されたかに焦点をあてています。今、アメリカでは何が必要とされ、何を削減すべきと考えらえているのかを認識し、情報のアップデートに役立てましょう。
主な変更点
■ フードピラミッドのビジュアルが変わった
最新のガイドラインを見てまず驚くのは、表紙にあるフードピラミッドのビジュアルです(最新版のフードピラミッドのビジュアルはこちら)。
「逆さピラミッド」が導入され、一番上、つまり最も多く摂取するべき食品群が従来のパンやパスタといった穀物類から、たんぱく質・乳製品・健康的な油脂、野菜・果物に切り替わっています。また、一番下のほんの少しのスペースに全粒穀物が描かれているのです。
→ ピラミッドの形状が変わること自体が象徴的な変化で、従来よりたんぱく質や脂肪の重要性を前面に押し出しています。
■ たんぱく質の大幅な増加
最新版では成人のたんぱく質摂取量の目標が0.8g/kgから1.2〜1.6g/kgへと大幅に引き上げられています。
→ これは1.5〜2倍近い増加です。一方、フードピラミッドにはステーキや赤身肉が最上位に描写されており、栄養学の専門家の間では肉類の捉え方に対して賛否両論あるようです。
■ 本物の食品(real food)重視を強調
本物の食品を中心に食べるべきというクリアなメッセージが導入されました。
本物の食品とは、加工や精製されていない野菜・果物・肉などを指します。乳製品は低脂肪のものではなく全脂肪のものをすすめています。
■ 超加工食品への明確な言及
従来版では、加工食品は栄養バランスと量によって評価されていましたが、最新版では「高度に加工された食品の摂取を避けるべき」 と、初めて明確に言及しています。
超加工食品とは、糖分、塩分、脂質を多く含み、高度に工業的に加工された食品のことを指します。具体的には、カップ麺、菓子パン、ポテトチップス、クッキーなどです。
■ 食品群・栄養素の位置づけの変化
全脂肪乳製品や動物性たんぱく質に対する評価が変わっています。最新版では乳製品や肉類をゼロカウントせず、栄養の源として重視する意図が見られます。
→ 従来版では低脂肪乳製品重視の方向がありましたが、新版では脂肪の質や食品の「全体像」に着目した評価に移りつつあります。
■ 添加糖の制限がより具体的かつ厳格に
従来版では1日の総カロリーの10%未満 (2,000 kcal 食なら約 50 g)に抑えるよう推奨されていましたが、最新版では「食事全体ではできればゼロを目指す。1食につき10 g 以下」という具体的な表現に強化されました。
特に 11歳未満では、添加糖を摂らないことが望ましいと明記される点が変わっています。
→ 単に割合で示すよりも、1食ごとの量で具体的に示す形に変わり、添加糖も強い注意喚起がなされています。
■ アルコールと甘味料のガイドラインの変化
アルコールは、従来版では「男性は1日2杯以下、女性は1日1杯以下」と明記されていましたが、最新版では具体的な量の制限表現は削除され、「控えめに」という曖昧な表現へ変わっています。
非栄養甘味料については、従来版では明確な制限指標は示されていませんでした。最新版では、人工甘味料の制限や警戒感は、より強調される方向にあります。
まとめ
最新版では、健康のために具体的に何をどれだけ食べるかという数値基準から、食品の質・種類・加工度といった部分を含めた実践的な指針へシフトしています。
特に たんぱく質量の増加、添加糖の明確な制限、超加工食品の排除的表現の追加 は、過去のガイドラインにはない数値的・概念的な変化といえます。
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