トレーナーに役立つ、マーケティングの基本知識                      ~3C分析編~

トレーナーの皆さんの中には、個人事業主として活動されている方も多くいらっしゃると思います。そんな競合ひしめき合う市場において、「集客力」はトレーナーにとってとても大事なスキルです。今回は、そんなトレーナーの皆さんにも役立つマーケティングの基本知識として3C分析についてご紹介します。

トレーナーにとって3C分析は、競争の激しい市場で成功するために不可欠です。顧客分析により、ターゲット市場のニーズや嗜好を深く理解し、適切なサービスを提供できます。競合分析は他のトレーナーやジムとの差別化ポイントを明確にし、優位性を確保する手助けをします。自社分析により、自らの強みや改善点を把握し、リソースを最適に活用する戦略を立てることができます。このように3C分析は、市場における自身の位置を確立し、持続可能なビジネスを築く基盤となります。

3C分析ってなに?

3C分析とは、マーケティング戦略や事業計画を立てる際に、自社や対象商品が置かれている市場の環境分析を行うために使われるフレームワークのひとつです。 マッキンゼーの経営コンサルタントだった大前研一氏が自著『The Mind of the Strategist』(1982年)の中で3C分析を提唱し、世界的に広く知られるようになったと言われています。    
3C分析の”3C”はビジネス環境を市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)と3つに分類したそれぞれの頭文字から取られています。
それでは、それぞれの3Cについて詳しく見てみましょう。

市場・顧客分析(Customer)

市場・顧客分析では、特定の市場の潜在的な規模と成長機会を把握し、顧客層の具体的なニーズや期待を理解します。トレーナーとして活動する地域のデモグラフィックデータ(年齢層、性別、職業、健康状態など)を分析し、どのようなプログラムが求められているかを把握することが重要です。例えば、若年層が多い地域では高強度のトレーニングプログラムやグループフィットネスが人気かもしれませんし、中高年層が多い地域では健康維持を目的とした穏やかな運動プログラムが好まれる可能性があります。

競合分析(Competitor)

競合分析では、直接的なライバルだけでなく、類似サービスを提供する事業者も考慮に入れます。競合のサービス内容、価格設定、顧客レビュー、マーケティング戦略を詳細に調査し、自社との比較を行います。例えば、同じエリアで人気のジムやフィットネスクラブが、どのようなプロモーションを行っているか、どのような価値提案で顧客の関心を引いているかを分析することで、自社の戦略を調整し、新しいマーケティングのアプローチを導入することができます。

自社分析(Company)

自社分析では、自社の運営するビジネスの内部リソースと能力を評価します。これには、トレーナーとしての専門スキル、設備、財務状況、顧客ベースなどが含まれます。例えば、特定のフィットネス分野(パーソナルトレーニング、ヨガ、グループエクササイズなど)での資格や専門知識がある場合、その強みを活かして市場をターゲットにする戦略が有効です。また、顧客からのフィードバックを収集し、提供するサービスの質を向上させるための改善点を特定します。

3C分析を成功させるためのコツ

ここまで3Cの意味について見てきましたが、実際にこれらの分析をしていくうえでのコツについて解説していきます。

1. 情報は正確に、そして客観的に

3C分析を行う際には、正確かつ客観的な情報収集が非常に重要です。情報の正確性が欠けていると、分析の結果が現実を反映しないため、誤った戦略を立ててしまうリスクがあります。また、個人の希望や思い込みを排除し、データに基づいた分析を心がけることで、現実的かつ効果的な戦略を策定することが可能になります。たとえば、顧客のフィードバックや市場のデータを分析する際には、個人の感情や期待を排し、実際の数字や客観的な意見を重視するべきです。

2. 時間をかけすぎない

3C分析において情報収集は必要不可欠ですが、時間をかけ過ぎると情報の鮮度が失われ、市場の変化に対応できなくなることがあります。効率的な情報収集を行うためには、最新の市場データやトレンドにアクセスしやすい信頼できる情報源を利用することが望ましいです。また、定期的にデータを更新し、分析のプロセスを迅速に進めることで、常に現在の市場状況に合わせた戦略を維持することができます。

3. 分析の順番は臨機応変に

3C分析は一般的に「市場・顧客分析(Customer)」から始め、「競合分析(Competitor)」、最後に「自社分析(Company)」の順で行うことが多いですが、状況に応じてこの順序を変えることも重要です。たとえば、自社の強みや弱みが明確であれば、それを基に競合との比較を行うことで、より具体的な差別化ポイントを明らかにすることができます。また、市場分析で得た情報が不十分な場合には、一時的に自社分析に注力することで、自社の立ち位置をより明確に把握し、その後の市場分析を有効に進めることができます。

3C分析は、マーケティング戦略の策定や事業計画の立案に不可欠なフレームワークです。この分析を効果的に行うためには、情報を正確かつ客観的に収集し、時間をかけすぎずに効率的に進めること、そして状況に応じて分析の順序を柔軟に調整することが重要です。これらのポイントを心掛けることで、競争が激しい市場においても、自社の強みを生かし、持続可能な成長戦略を築くことが可能になります。
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