パーソナルトレーナー(個人事業主)としての              基本手続き part2

パーソナルトレーナーが個人事業主として活動する際に注意すべき法的問題はいくつもありますが、今回は、クライアントとの間でトラブルが発生しないよう、大切なポイントを挙げていきます。

契約書の作成

クライアントとの関係において、提供するサービスの範囲、料金体系、キャンセルポリシーなどを詳細に記載した契約書を作成し、双方の合意のもとに締結することは極めて重要です。この手順により、将来的に発生するかもしれない様々なトラブルを予防することが可能となります。

<不履行のリスク>
契約書の作成を怠ったり、両当事者の合意が得られなかった場合、サービスの内容や料金に関する誤解や紛争が発生するリスクが高まります。これは、クライアントからの信頼を失う原因となり得ます。また、料金の未払い、不当なキャンセル、またはサービスの質に関する不満が、法的な問題へと発展することもあり得ます。これらの問題を解決するためには、多大な時間やコストが発生し、事業の運営に大きな負担をもたらすことが予想されます。そのため、予め明確な契約書を準備し、双方の合意形成に努めることは、将来のトラブルを回避し、事業の安定した運営を確保するために非常に重要です。

個人情報保護法

クライアントから収集した個人情報は、個人情報保護法に基づいて適切に管理し、許可なく第三者に提供したり、不適切に使用したりしないように注意が必要です。

<不履行のリスク>
個人事業主がクライアントから収集した個人情報を個人情報保護法に基づいて適切に管理しない、または許可なく第三者に提供したり不適切に使用したりする場合、重大な法的責任や罰金が課されるリスクが高まります。さらに、クライアントの信頼を失い、事業の評判が著しく損なわれることにより、ビジネスの持続可能性にも悪影響を及ぼす可能性があります。これは、プライバシーの侵害とみなされ、社会的な信用失墜に繋がり、最終的には事業運営において重大な障害をもたらす恐れがあるため、個人情報の適切な管理と保護は極めて重要です。

インボイス制度

2023年10月から消費税の適正な取り扱いを促進し、請求書等の適正な発行と管理を目的とした「インボイス制度」が導入されました。この制度は、消費税の課税事業者が取引に関する適切な請求書(インボイス)を発行し、その記録を保持することを義務付けています。パーソナルトレーナーが個人事業主として消費税の課税事業者に該当する場合この新しい制度に従う必要があります。

★パーソナルトレーナーにおける対応
①課税事業者かの確認
まず、年間の売上が消費税の課税対象となる基準を超えるかどうかを確認します。基準を超える場合、課税事業者として税務署に登録し、インボイス制度に対応する準備を始める必要があります。
②適切なインボイスの準備と発行
認定請求書発行事業者として認定を受けた後は、サービス提供時に適切な情報を含むインボイスを発行し、その記録を保持する必要があります。
③会計ソフトウェアの活用
インボイスの管理や消費税の計算を簡単にするために、会計ソフトウェアの使用を検討すると良いでしょう。多くのソフトウェアはインボイス制度に対応しており、発行から記録保持までをサポートします。
④税理士との連携
消費税の申告やインボイス制度の適用に不明な点がある場合は、専門家である税理士に相談することが推奨されます。専門的なアドバイスを受けることで、税務上のリスクを避けることができます。

<不履行のリスク>
パーソナルトレーナーがインボイス制度の義務を遵守しない場合、法律に基づく罰則や違反金の適用、正確なインボイスの不発行に伴う消費税の控除権の喪失など、事業の財務と法的立場に直接的な損害をもたらす重大なリスクが伴います。インボイス制度は、税務上の透明性を高めるためのものです。パーソナルトレーナーとして個人事業主になる場合、この制度に適切に対応することが、事業の健全な運営には不可欠です。

労働安全衛生法

スタジオやトレーニングジムを運営する場合、労働安全衛生法に基づく安全な環境を提供する責任があります。設備の安全基準を守り、適切な指導を行うことが求められます。

<不履行のリスク>
労働安全衛生法に基づく安全な環境の提供を怠る場合、事故や怪我が発生した際に法的責任を問われるリスクが高まります。これには、損害賠償請求や罰金などの財務的な負担が伴う可能性があります。また、安全基準を守らないことが原因でクライアントや従業員からの信頼を失うことにより、事業の評判が損なわれ、長期的にはビジネスの継続性や成長に悪影響を与える可能性があります。したがって、設備の安全基準を遵守し、適切な指導を行うことは、法的なリスクを避け、信頼される事業を維持する上で不可欠です。

これらの法的問題に加え、地域や市町村によっては独自の規制や手続きが存在する場合があります。活動開始前には地元の行政機関や専門家に相談し、必要な情報を確認することが重要です。また、法律や税制は変更されることがあるため、最新の情報を常にチェックし続ける必要があります。

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