座り続けることの健康への影響とその予防策

皆さんは、人生のリスクについて考えるとき、長時間座ることが健康に与える影響はあまり意識されないかもしれません。しかし、医療の専門家により、長時間座り続けることは深刻な健康問題を引き起こす可能性があるといわれています。ミネソタ州ロチェスターにあるメイヨークリニックの医学教授、ジェームズ・レバイン博士は、「座ることは新しい喫煙」だと警鐘を鳴らしています。長時間にわたる座位は、心臓病、がん、糖尿病、うつ病、不安症などのリスクを高めることが研究で示されています。特に、座りっぱなしでいることで股関節の可動性が低下し、高齢者の転倒リスクが増加します。また、NESTAの研究(調査)によれば、座っている時間が長いと、記憶の形成に重要な脳の領域が薄くなることも報告されています。

長時間座り続けることによるダメージは、多岐にわたります。以下に具体的な影響の一部を紹介します。
●心血管系のリスク
長時間の座位は心血管疾患のリスクを高めます。研究によると、座り続けることで血流が滞り、血栓の形成や高血圧のリスクが増加します。また、長時間の座位は「悪玉」コレステロール(LDL)レベルを上昇させ、「善玉」コレステロール(HDL)レベルを低下させることが示されています。

●糖尿病と代謝疾患
座り続けることは、インスリン感受性を低下させ、2型糖尿病のリスクを高めることがわかっています。
長時間の座位は、血糖値のコントロールを悪化させることがあり、これが糖尿病の進行に寄与すると考えられています。

●筋骨格系の問題
座りっぱなしでいると、腰痛や首の痛み、肩こりなどの筋骨格系の問題が発生しやすくなります。長時間の座位は、特に腰部に負担をかけ、腰椎椎間板の圧力を増加させます。また、座位は股関節屈筋の硬化や脚の筋力低下を引き起こし、これが高齢者の転倒リスクを増加させる要因になる場合があると報告されています。

●メンタルヘルスの問題
長時間の座位は、うつ病や不安症のリスクを高めることも報告されています。座り続けることで身体活動が減少し、これが精神的な健康にも悪影響を与えることがあります。適度な運動は、エンドルフィンの分泌を促進し、気分を改善する効果があるため、長時間座っていることはこのようなポジティブな効果を得られにくくしてしまう可能性があります。

●認知機能の低下
座り続けることは認知機能にも悪影響を及ぼします。NESTAの研究(調査)によれば、長時間の座位は記憶の形成に重要な脳の領域(内側側頭葉)が薄くなることが示されています。これは、長時間座っていることが脳の健康に負の影響を与える可能性があることを示唆しています。
★シニアフィットネス トレーナー 資格詳細はコチラ

長時間座り続けることによるダメージは、運動だけでは相殺できません。心臓病の専門家によると、毎日どれだけ身体活動をしても、座り続けることの健康影響を完全には打ち消せないとされています。つまり、座りっぱなしの時間を減らすことが重要なのです。
これらのリスクを軽減するためには、定期的に立ち上がって動くこと、座っている時間を出来るだけ短くすることが重要です。トレーナーとして、クライアントにもこの情報を共有し、健康的な生活習慣の維持をサポートしていくことが必要でしょう。
                                                  
それでは、座っている時間を減らし、動く時間を増やすための簡単な方法をいくつか紹介していきます。
●定期的な立ち上がり
1時間に5分間は立ち上がって動くようにしましょう。オフィスのデスク回りを歩いたり、コーヒーを入れたり、簡単な活動でも効果があります。

●アラームを設定
携帯電話にアラームを設定し、1時間ごとに立ち上がって動くように通知します。

●テレビのCM時間の活用
テレビを見ているときはCMの間に立ち上がって部屋を歩き回るようにしましょう。

●食後の軽い散歩
毎食後に5分~10分間程度の軽い散歩をすると、2型糖尿病のリスクが軽減されることが期待できます。

●階段の使用
可能であれば、エレベーターやエスカレーターではなく階段を使いましょう。

これらは些細な生活習慣のヒントですが、座っている時間を減らし、心身の健康に大きな変化をもたらす鍵となります。トレーナーとしてクライアントにもこの知識を共有し、健康的な生活習慣をサポートしましょう。 
★パーソナルトレーナー資格はNESTA