筋ホルモン「マイオカイン」part2 筋肥大と委縮

マイオカインの驚くべき働き

私たちの筋肉が分泌する一群の特別なホルモン、「マイオカイン」には、驚くべき働きがあります。その中でも特に注目されているのが、筋肥大(筋肉の成長)や委縮(筋肉の減少)といった現象との深い関係です。
筋肉が収縮するとき、つまり私たちが運動をするときに、マイオカインは筋肉から分泌されます。このマイオカインの分泌がなければ、筋肉の量を維持することができず、筋肉の再生に不可欠なサテライト細胞の数も減少してしまいます。

サテライト細胞とは

サテライト細胞とは、筋肉を構成する細胞の一種で、筋線維に密接に付着しています。通常、これらの細胞は積極的には活動していませんが、運動によって筋肉に微細な損傷が生じると活性化し、筋肉の修復や成長を促進します。しかし、加齢や閉経に伴うエストロゲンの減少、そして運動不足などによって、これらサテライト細胞の機能は低下します。特に運動不足は、「ミオスタチン」と呼ばれる悪玉マイオカインの増加を促し、筋肉の萎縮を進めることにつながります。ミオスタチンは筋肉の成長を抑制することが知られており、サテライト細胞の増殖を阻害し、さらには破骨細胞を活性化して骨を弱くする作用があります。
しかし、筋収縮を促す運動により、ミオスタチンの働きを抑える「デコリン」という善玉マイオカインが分泌されることがわかっています。つまり、レジスタンストレーニングなどの運動を積極的に行うことで、筋収縮活動が促進され、善玉マイオカインであるデコリンが分泌されます。

トレーニングによって筋肉は微細な損傷を受けることでサテライト細胞が活性化され、同時に悪玉マイオカインであるミオスタチンの活動も抑制されます。結果として、筋肉は修復され筋肉量が増加し筋肥大へとつながることで筋力が向上します。さらに、「デコリン」には破骨細胞の活動を抑える作用もあるため、骨量の維持や向上も期待できます。このように、筋肉を積極的に動かし、レジスタンストレーニングを習慣化することで、善玉マイオカイン「デコリン」の分泌を促し、筋肉の再生をサポートするサテライト細胞を活性化させることができます。筋肉と骨の健康を維持し、より強く、活動的な日常を送れる身体を目指しましょう。

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