脳機能・リスク判断・学習力を高めるシンプルな習慣
昔から外遊びは身体によいと言われてきました。子どもを持つ親はその通りとばかりに「家でゲームばかりしていないで外で遊んでいらっしゃい」と自分の子どもに声をかけます。
しかし現代では、スマートフォンやSNSの普及もあいまって、外遊びをする時間はどんどん減ってきています。
また、教育熱心な家庭の子どもたちは塾や習い事で放課後は埋まり、それらが終わる頃には外は真っ暗。中には、中学受験のために睡眠時間を削ってまで机に向かう小学生もいます。
しかし現在の科学では、脳の発達や判断力、さらには学習能力の向上には、外遊びが非常に有効であることがわかってきています。走る、跳ぶ、バランスをとる、仲間とルールを決める。こうした一見何気ない遊びの時間が、子どもの脳にとっては重要なトレーニングの場になるのです。
そこで今回は、世界の研究結果からわかる外遊びの重要性を、各界の専門家の証言を元に説明していきます。
~外遊びは脳の多領域を刺激する~ 幼児教育、人間発達学の専門家より
自然の中での遊びには、不安定な場所で体勢を保つ、状況を見て動きを変える、仲間と相談するといった要素が含まれます。これらは身体能力だけでなく、判断力や自己調整能力を引き出します。
ノルウェー、クイーンモード大学幼児教育学部の教授エレン・ベアテ・ハンセン・サンドセター氏によると、外遊びをした子どもは、そうでない子どもに比べ自立心が高く、自分のことは自分でできるようになることが、調査から明らかになっています。
特に、走ったり飛び跳ねたりといった動きは、脳の下部領域を刺激し、感情のコントロールに役立ちます。同時に、計画や意思決定を担う部分や、空間認識と記憶に関係する領域も活性化すると、アメリカ、ネバダ大学リノ校の人間発達・家族学の教授ブリジッド・ウォルシュ氏は述べています。
~心拍数を上げる活動が脳機能を押し上げる~ 精神科医より
外遊びのもう一つの大きな価値は、身体をしっかり動かすことにあります。心拍数が上がる活動は、脳の働きを活発にし、集中力や思考力を高めます。脈拍を1分間に150回前後まで上げることを目安としています。
スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセン氏によると、重要なのは子どもたちが何をして体を動かすかではなく、「とにかく身体を動かすこと」だといいます。
研究によると、
・最大の効果を得るには少なくとも30分、活動を続ける
・12分の身体活動で、学童期や思春期の子どもたちの読解力や集中力が増した
・ジョギング程度の活動を、わずか4分するだけでも物事に集中しやすくなる
といった変化が確認されています。つまり、短時間でも身体を動かすだけで、学習に関わる脳機能が刺激されるのです。
~遊びが学びの土台をつくる~ 腫瘍外科医より
外遊びは、単に体を動かす時間ではありません。そこには、
・自分で判断する経験
・挑戦と失敗の繰り返し
・仲間との協力
・集中して取り組む時間
が自然に含まれています。
これらはすべて、学習や日常生活に必要な力の基盤になります。読解力やワーキングメモリー、集中力といった能力も、こうした身体活動と密接につながっています。
スポーツや体系化された屋内の活動にも利点はありますが、それだけだと子どもは「実行機能を自発的に発達させることはない」と、アメリカ、ハスキンズ研究所の腫瘍外科医ベンジャミン・パワーズ氏は述べています。
また、子どもの時に対立を解消したり、新しい状況に立ち向かったりする練習を積んでおかないと、ティーンエージャーや大人になったとき、シナリオのない実生活で苦労する可能性があると付け加えます。
まとめ
子どもに外遊びをさせることは、脳機能を多方面から刺激し、リスク判断力や学習に関わる能力を育てるシンプルで強力な方法です。
長時間でなくても構いません。数分でも身体を動かす時間が、集中力や思考力を高めるきっかけになります。
遊びの時間は、子どもの未来を支える脳の土台づくり。その価値を理解し、日常の中に積極的に取り入れることが、子どもの成長を大きく後押しします。
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