8月1日は「歯が命の日」

8月1日。この日を機に、口腔内ケアの重要性について考えてみましょう。集中治療室での歯磨きを含む口腔ケアが、呼吸器合併症を減らし、患者の予後を改善することは広く認められています。さらに、口腔内の衛生状態は糖尿病や動脈硬化とも深く関係しているのです。

食事のあと約8時間で、食べカスの中で細菌が増殖してプラーク(歯垢)が形成されます。歯垢は細菌の塊であり、これが慢性的な炎症を引き起こし、炎症物質であるサイトカインが誘導されます。このサイトカインが、血糖を下げるホルモンであるインスリンの働きを阻害するため、血糖値が下がりにくくなり、インスリン抵抗性が高まり糖尿病になりやすくなります。

一方で、2型糖尿病の方は、非糖尿病者と比較して、歯周病の発症率が2.6倍高いことが報告されています。糖尿病の方は、浸透圧利尿のため脱水になりやすく、口腔内が乾燥して細菌が増殖しやすい環境が生まれます。さらに、唾液中の糖分が増えることで、細菌は栄養が豊富な環境で一層増殖し、口腔内の炎症が進んで歯周病が発症しやすくなります。糖尿病と歯周病はお互いに悪影響を与え合い、症状が悪化していく「負のサイクル」を形成します。しかし、どちらかの治療を進めることで、もう一方の病状も改善することが多く報告されています。例えば、歯周病の治療により、3〜4カ月後のHbA1cが統計的に有意に改善するという結果もあります。

糖尿病の予防には、運動や生活習慣の改善が重要です。特に、定期的な運動は血糖値のコントロールに非常に効果的です。運動はインスリンの感受性を高め、血糖値の安定に寄与します。また、健康的な食事と規則正しい生活習慣も糖尿病予防に不可欠です。トレーナーとしては、個々の生活スタイルに合わせた無理のない運動プランを提案し、日常生活に取り入れて、運動を習慣化していくことが重要です。

まずは、毎日の歯磨きをしっかり行うことから始めてみるのも良いでしょう。糖尿病は古代エジプトの記録にもあり、日本でも藤原道長や織田信長、明治天皇などが糖尿病であったと伝えられています。現代でも糖尿病患者は増え続けており、重要な社会問題となっています。

糖尿病と歯周病は一見関係がないように見えますが、実は深い関連性があります。どちらの病気も予防と治療において、口腔内ケアが大切な役割を果たします。トレーナーとしては、クライアントに適度な運動と健康的な生活習慣の維持を推奨しつつ、日々の歯磨きを徹底することの重要性を強調します。これらの対策を組み合わせることで、糖尿病と歯周病の予防に努めていきましょう。
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