はじめに
スイミングスクールは、習い事ランキングにおいて不動の人気を誇ります。ベネッセコーポレーションの調査によれば、小学生の31%が水泳を習い事に選んでおり、2位の英会話(21%)を大きく上回っています。また、「新たにさせたい習い事」でも英会話に次いで2位と、その魅力は衰えを見せません。この人気を支える要因と課題、さらにそこから生まれるビジネスチャンスを詳しく見ていきます。
健康と教育の両面からの支持
水泳は、心肺機能や筋力をバランス良く鍛える全身運動です。成長期にある子どもたちの体力向上に寄与し、保護者から高い支持を得ています。加えて、少子化の影響により、親の教育への関心が高まっていることも背景にあります。特に、親自身が水泳に苦手意識を持つ場合、子どもには上達してほしいという思いが強く、スイミングスクールの人気を後押ししています。
都心部での深刻なキャンセル待ち
一方で、都心部ではスイミングスクールの需要が供給を大きく上回っています。東京都文京区にあるスクールでは、100人以上が3年待ちの状態で、キャンセル待ちは日常茶飯事です。また、生後数週間の赤ちゃんの名前で申し込みが行われるケースもあり、施設の不足が深刻化しています。この結果、申し込み年齢の制限を設けるスクールも現れています。
パーソナルトレーナーにとってのビジネスチャンス
このスイミングスクールの人気と課題の中には、パーソナルトレーナーが活躍できる多くの機会があります。
- スイミング特化型トレーニングプログラムの提供
スイミングスクールの学習を補完する陸上トレーニングや、柔軟性を向上させるエクササイズの提供が可能です。体幹強化や肩甲骨の柔軟性向上を目指したプログラムは、水泳の上達を加速させるサポートとなります。 - オンライントレーニングの展開
施設不足や遠距離通学の問題を抱える家庭に向け、オンラインプラットフォームでのトレーニングを提案します。自宅での簡単なエクササイズや水泳の基本フォーム指導を提供することで、手軽に取り組めるプログラムを構築します。 - 保護者向けの健康プログラム
スイミングスクール需要を支える親世代をターゲットにした健康管理プログラムを展開します。親子で取り組めるエクササイズや保護者自身の健康をサポートするフィットネスサービスが、親子の信頼を深めるきっかけになります。 - スイミングスクールとの提携
スイミングスクールと連携し、トレーナーが提供する付加価値を提案します。生徒や保護者向けのワークショップを通じて、スクールの満足度向上にも貢献できます。 - 長期的なトレーニングプランの提案
成長段階に応じたトレーニングプログラムを提案し、体力向上や健康維持を目的としたサービスを提供します。食事指導や睡眠改善も含めた包括的なアプローチで、家族全体の健康促進をサポートします。
新たな動きと展望
東京都千代田区での新規スイミングスクールでは、月会費20,000円(週1回/月4回)と価値を高めた試みがされています。オープン前の体験会には500人以上の保護者が訪れるなど、その関心の高さが浮き彫りになっています。今後の課題として、さらなる施設の増設、長期キャンセル待ちを解消する仕組みづくり、オンラインレッスンなどの補完的なサービスの導入が期待されます。
スイミングスクールの人気と課題は、パーソナルトレーナーにとって新しい市場を開拓する機会となります。親と子どもの健康意識をサポートしつつ、地域やオンラインを通じて効果的なアプローチを展開することで、トレーナーの価値を高めることが可能です。このチャンスを生かし、柔軟かつ創造的なサービスを提供していきましょう。
関連するNESTA資格の推奨
パーソナルトレーナーがスイミング市場での専門性を高め、顧客の多様なニーズに応えるためには、以下のNESTA資格取得が特に有効です:
- PFT(パーソナルフィットネストレーナー)資格
総合的なフィットネストレーニングのスキルを習得し、個別のトレーニングプログラムを作成できます。特に水泳を補助するためのコンディショニング指導に適しています。 - スイミングコンディショニングスペシャリスト資格
水泳特有の動作や体力向上をサポートするための知識を深められます。スイミングコーチとの連携により、子どもや成人の水泳パフォーマンスを効果的に向上させる専門的なサポートを提供できます。 - キッズコーディネーショントレーニングスペシャリスト資格
子どもたちの成長段階に応じた運動指導が可能になる資格です。基礎体力やバランス感覚の向上をサポートし、スイミングスクールに通う子どもたちの運動能力を伸ばすためのトレーニングにも役立ちます。
これらの資格を取得することで、スイミング市場での競争力を高め、保護者やスクールとの信頼関係を築くことができます。特に、スイミングスクールと連携したワークショップやプログラム提供を視野に入れることで、ビジネスの幅を広げる大きな一歩となるでしょう。