非認知能力の定義と背景
近年の教育研究では、IQなどの認知的な知識・スキルだけではなく、人の適応力や行動、態度、モチベーションといった側面も重要であるとされています。これらを総称して「非認知能力(社会情緒的能力)」と呼び、学習や職業生活における成功に深く関わることが示されています。
具体的には、
-
観察力・状況認知
-
行動の振り返りと修正
-
対人コミュニケーション(声掛けのタイミング、距離感、表現)
-
自分で考え判断し行動する力
など、単なる知識の記憶や理解だけでは測れない力が含まれます。
これらは多くの場面で「経験」を介してしか育ちにくく、動画での学習だけでは習得が限定的です。
なぜ動画学習では不十分なのか
1. 体感・感覚的情報の欠如
トレーナー指導に必要な「感覚」は、単に動作を知るだけでは得られません。クライアントの動きの中で微妙に変化する重心、姿勢、表情、呼吸リズムなどは、観察と経験を通じて身体で感じ取っていく必要があります。動画だけではこうした立体的で即時的な情報が不足します。
2. 反射的判断力が育ちにくい
実践では瞬時に判断し声を掛けたり、指導内容を変えたりする必要があります。しかし動画学習は受動的であり、リアルタイムの意思決定プロセスを経験する機会が少ないため、反射的判断力や柔軟性が育ちにくい面があります。
「経験」を学びに変える理論
1. 経験学習理論(Experiential Learning)
教育理論のなかで代表的なのがコルブの経験学習サイクルです。これは単なる知識のインプットではなく、
-
実際に行動する
-
体験を観察・振り返る
-
理論と結びつけて抽象化する
-
次の行動を計画・試す
というサイクルを通じて真の学びが生じるとします。
この理論は、トレーナーに必要な「観察力」「判断力」「フィードバック力」「改善力」を体系的に育成するうえで有効です。
2. 学習の転移と実践環境
実際の現場で学んだ経験を別の状況へ応用できるかどうかは、学習の質を左右します。単に知識を詰め込むだけでなく、現場での反復経験・振り返り・内省によって非認知能力が育つという研究もあります。

日常指導の中で育てる非認知能力
観察力の鍛え方
-
対象者の動作を分解して捉える
-
呼吸や視線、表情の変化を追う
-
他者との比較ではなく、自分の基準で観察する
体で感じる学習
-
実際にクライアントの動きを自分で模倣する
-
自分の身体で制限や可動域を体感する
-
指導者同士で交互に役割を体験する
反射的判断と声掛けセンス
-
セッション中に即時フィードバックを出す練習
-
実際のケーススタディを用いたロールプレイ
-
さまざまなパターンを体験し、引き出しを増やす
ポイント
-
非認知能力は、知識だけではなく行動・判断・感覚・コミュニケーションなどの実践的スキルである。
-
動画学習は知識習得には有効だが、現場での即時判断や体感は補えない。
-
経験学習理論に基づく、実践→内省→改善のサイクルが非認知能力育成に適している。
NESTAが推薦するス講座
実践力(非認知能力)を身につける

