価格勝負の落とし穴

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量を売れれば良いのか?

こんな話があります。
ある文房具店では、定価100円のペンを、店頭で80円で販売するのです。
どうやって利益を上げるのかと尋ねると「とにかく量を売る」と答えます。

意外なことに、多くの経営者が、これと同じ行動をとります。
商品やサービスの価格を他社よりも安く設定すれば、量をたくさん売れるから成功する、と考えているのです。
低価格であれば、利益は少なくても、そこを補えるほどの売上が得られると思い込んでいるのです。
先述のように、多くの起業家は「マージンで失ったものは、量で補うことができる」と考えているのです。

価格競争のリスク

価格競争にはリスクが伴います。
確かに、大企業の中には低価格で成功しているところもありますし、中小企業のいくつかも、そうであるかもしれません。
しかし「低価格」は利益率の低下を意味しています。そして利益率の低下はキャッシュの減少を意味します。
キャッシュの減少により資金に余裕がなくなると、わずかなコストの上昇にも弱気になってしまいます。

するとどうでしょうか?
さらにコストを削減する方法を考えなければならなくなります。最初に削減したくなるのは、従業員への給与や福利厚生です。
しかし、気をつけてください。これでは、良い従業員を集めることは絶対にできません。
今いる従業員も、生産性や忠誠心が格段に低くなることは間違いないでしょう。あなたは従業員から目を離すことができず、そして従業員は時計から目を離すことができなるのです。

そうなると次にすることは、マーケティング活動に充てる費用の削減です。
しかし、低価格で勝負しているようなビジネスは、ほとんどの場合、顧客を引き止めるために高いレベルのマーケティングに依存しています。
そのようなビジネスにやってくる顧客にもさまざまなタイプがあります。
例えば低価格を好む顧客は、あなたの会社自身ではなく、価格に重きを置いているのです。
だから、もし競合がさらに低価格で同じ商品を出せば、せっかく獲得した多くの顧客も、一瞬にして消えてしまうのです。




低価格であることは戦略の要ではありませんが、もちろん無視することはできません。
大企業のようなサプライヤー割引やスケールメリットが得られない小さな会社でも、競争力のある価格を維持するにはどうしたらよいのでしょうか。
次のようなことを考えてみてください。

ニッチを開拓する

市場を「所有」していれば、価格設定の余地が大きくなります。
1つの街に100人の靴職人がいれば、常に価格競争にさらされますが、もしあなたが街で唯一のサンダル職人であれば、価格競争に巻き込まれることはないでしょう。

安くするのではなく、賢くする

競合他社の多くが考えていない、革新的な方法で利益を向上させましょう。
例えばS航空会社。S社はまず、紙のチケットではなく、再利用可能なプラスチック製のチケットを発行することでコストを削減しました。その後、電子チケットを業界で最初に導入しました。
さらにS社は、他の航空会社が2時間かけていた着陸後の飛行機の再飛行を、平均20分にすることで利益を最大化しました。
より賢くなることで、S社は業界で最も安定したプロフィットを得られる航空会社となったのです。

価格ではなく、価値にフォーカスする

価値とは、価格と品質の組み合わせという意味で使われる言葉です。
例えば冬物のコートを買うとき、長年使える品質を得るためには高い値段を払ってもいいと思うかもしれません。
同じように印刷サービスでも、競合他社よりもミスの少ない仕事を早く提供できれば、お客様はより高い価格を支払ってくれるかもしれません。
卓越性とサービスは、高い価格を正当化するための競争上の優位性なのです。

適切な顧客をターゲットにする

すべてのお客様が、より良い品質のために、より多くのお金を払ってくれるとは限りません。
だからこそ、あなたが提供する価値の違いに反応し、その価値に対して多少高い価格を支払うことができる顧客に向けて、マーケティング活動を行う必要があります。

価格ではなく、あなたへの忠誠心を高める

特別価格(割引、紹介、セール)で顧客を惹きつけたとしても、価格が上がった時に顧客が戻ってきてくれるような関係をすぐに築きましょう。
「低価格のリーダー」であり続けるための戦いに巻き込まれないでください。
その戦いには勝っても、ビジネスには負けてしまうかもしれません。

あなたが提供できるものは、価格の安さだけではないはずなのです。


– ジョンソンヘルステック